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あなたが無事でありますように!

大きな声では言えないが、仕事を放ったらかして本を読んでいる。
一遍一ページにも満たない、ごく短い話が端的に集められたごく薄い文庫本。
隙間の時間にちょっといいよね、と思いつつ開いて、すとん、とはまる。
見た目余白も多くすかすかで、イラストまであるのにページ数は進まない。
読んでは離し、読んでは脇に置き、そしてまた手に取る。
今日で二日目だ。

「嘘のような本当の話 みどり」内田樹、高橋源一郎編。
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日本版ナショナルストーリープロジェクトの第二弾。
第一弾は2011年に出ていて、本家はアメリカの作家ポール・オースターがが2001年ごろにはじめたラジオプログラム。
 I Thought My Father Was God: And Other True Tales from Npr's National Story Project

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(表紙は何度かお見かけしたが、この本がそういう本だとは今の今まで思ってもいなかった)

なにはともあれ日本版、選考の基準が「奇妙な後味」もしくは「そういうことってあるよね」
こういう話は無責任な想像力や、自分色の追体験を次々と呼んでくる。
紙で読むせいか、ブログやサイトとは違う語調が心に響く。
メディアだってウソややらせばかりではない。本当のことも混じっている。けれどピュアな実話に飢えたとき、こういう本はうれしい存在だ。

「将来あなたが結婚する人のために祈りなさい」
 季節は秋、カトリック系の女子高の三年生だった私に、シスターが突然申し渡した。何やらわからないが、とりあえず「あなたが無事でありますように!」と祈っておいた。 (文春文庫 217頁)



それでも今日はきっとこの一冊を読み切ってしまう。
それから数日間は手元に置いておくことだろう。
きっとぱらぱらめくってランダムに読む。
開いた先にちょうど読みたい話がある。
そういうことって、あるよね。


この記事をUPして、半日してから気がついた。
元案のポール・オースター、「パパは神様だと思ってた」(勝手に和訳)、「アメリカの本当の話」(勝手に和訳)という題でで既読だった。
日本語の気迫に負けて、
気がつかなかった。
これもこれでマヌケだわな。

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by mkbookies | 2016-07-28 06:08 | | Comments(0)

「ここはボツコニアン」とゲーム本数冊



宮部みゆきさんがゲーム好きとは聞いていたが、趣味でここまで書かせてくれる出版社があるとは夢にも思っていなかった。
楽しく明るく軽~い本。
昭和のTVっ子にはつっこみ倍増。

実は途中で投げ出そうかと思ったこともあったけれど、3じゃ位の3分でわかる「三国志」を開いたとたんに、もうわたし、宮部さんについていきます、と声に出していってしまった。
第5巻まで出て、それからしばらく出版されていないようだけれど、5と巡り合うときのためにその辺の展開を楽しみにとっておこう。

北方謙三氏著三国志、ぜひぜひ読まなくっちゃ。
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話変わって、「夜市」で心わし掴みにされた恒川光太郎氏の「スタープレイヤー」
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「夜市」の独語だったのでファンタジーでホラーな本を期待して読みはじめたが、まったくもってゲームの展開。
現実から突然別世界に飛ばされて、
画面を使って町を作り、食を手に入れ復讐にも走れる。
願いはかなえるためにある。
まずの望みは美人になって、住むところは実家に似た家を。けれどゴキはいりません。
命もパワーも望むがまま。

この世界に「夜市」はない。死者は死後の世界の記憶を持たず、生きるものは者に囲まれ、金銭感覚がない。「夜市」から「スタープレイヤー」、恒川氏の返還を、手当たり次第に読んでいきたい。


思っていたらこちらに出会う。
久井諒子の「ダンジョン飯」


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マンガのゲームグルメ本。

いや、漫画もグルメも幻想も好きだけどね。
久井諒子についてはまだ語りたいことがあるので、そのうちじっくり語らせていただきます。





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by mkbookies | 2016-07-10 10:11 | | Comments(0)

小島てるみ 「最後のプルチネッラ」 「ヘルマフロディテの体温」 「ディオニュソスの蛹」

ナポリ少年シリーズ。
いや、どれも単独で、登場人物に接点はない。三冊ともナポリにまつわり、誰も彼も精神年齢としては自分にベクトルを向け、多感な老若男女であふれている。本物のイタリア人と違うのは、boysたちが挨拶代わりに女を口説かないところ、自己愛に満ちてはいるが常に人の目を気にしているところ。どこか長野まゆみかな。演劇つながりで萩尾望都も思いだした。

以下メモ書き程度にタグをつけておく。

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転生を繰り返す道化師のもとで演劇のワークショップに参加する有名/裕福少年と無名/貧困少年の主役争い。
いや、争いではない。裕福少年は野良ネコのような無名少年になつき、無名少年は毛並みのいい名門猫から目を離せない。
ナポリという異国情緒と、時を超えた道化師の幻想性が混ざりあい、奇妙な肌触りを感じさせてくれた。


「最後のプルチネッラ」 2007年発行

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両性具有と性不一致の悩み。

「ヘルマフロディテの体温」2007年発行


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母と死に別れたナポリの少年が、見知らぬ異父兄に会いに南米、ブエノスアイレスへ出向く夏。
兄は大邸宅に住んでいた。

人物が入り組み、時代も時折左右するのだが、理路は整然、単純明快どこか劇仕立て。
これもアートセラピーが混じった知的な一冊。
命令形の多さや上から目線が連発で、人の家庭のいざこざや美人の恋愛事情、トラウマが好きな人には受けるかも。

「ディオニュソスの蛹」2014年発行

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実は一番初めの本は三浦しをんさんの「本屋さんで待ち合わせ」で知った。
この三作では演劇、舞台、少年、多感、がキーワードかも。
神話に美術も満載で、学術性も高そう。
そっちのほうの造詣が深いなら、もっと楽しめたことだろう。
個人的にはカタカナになじめない性質、イタリア語、神話系の固有名詞はきつかった。
いまだにどのタイトルも、空では言えない。




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by mkbookies | 2016-07-10 09:37 | | Comments(0)

神戸にて “消えたスヌーピー像”

筒井康隆氏、「旅のラゴス」を読みたくて、まずは図書館で検索をかける。
この人、神戸に住んでたんだよな、思いつつ結果を見ると、市内全区の図書館で計14冊、全巻貸し出し中。予約98件。
新刊本でもないのに。
本屋の店頭ではまだ見たことがない。古本屋をめぐるか?
さてどうやってゲットしよう。

とにかく図書館に出向いた。そこで目についたのが三浦しをん「本屋さんで待ち合わせ」。この書評集に入っていた井上荒野さんの「潤一」を読んでみた。そこから名前つながりで谷崎潤一郎を読みたくなる。まずは細雪。実家にある文学集からなので旧仮名遣い。新仮名で読んだことがあるので苦労はしないけれど、でも昔の阪神を旧仮名で読むと、なんだか情緒あるもんだ。

情緒と言えば異人館の多かった神戸、また一件老朽化と耐震性の問題で歴史を閉じようとしている建物がある。
神戸駅近くのファミリアがはいっていた元銀行の石造り建物だ。取り壊されることになり、問題になったのが玄関先に鎮座する石のスヌーピー
あまりにも普通にいるので、いて当たり前。まぁたまには頭でもなぜてやろうかというちょっと重鎮だがどこか抜けた雰囲気をいつも漂わせていた。
どうもこのスヌーピー、ファミリアのものではなかったらしい。
路上にあるので市の建造物化と言えばそうでもない。
いまや誰のものでもない野良スヌ。建物解体の前で、彼の運命はいかに。
案じる間もなく早々に姿を消した。

そんな記事が6月26日に、神戸新聞に載っていた。
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201606/0009218080.shtml

市民に安否を気遣われるスヌーピー。
ミステリーにでも迷いこんだかのような記事だった。






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by mkbookies | 2016-07-01 07:15 | つれづれ | Comments(0)