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イギリス EU離脱投票

選挙投票年齢が低ければ、まったく違う結果が出ただろうに。
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by mkbookies | 2016-06-25 05:23 | 時事 | Comments(0)

町工場の娘 諏訪貴子

 親の七光りと言われれば「私光ってますか」と問い返し、工場に仕事がなくなれば、空きスペースでスタジオを作り一時間二千円で貸す。技術は盗んで学べ、な古参を「今の子はなんでも教えないといけない」と言わしめ、新しい技術は新人からの浸透をはかる。

父が築いた工場を引き継ぎ、多々ある危機をくぐり抜け、質と納期で定評を勝ち得、ウーマン・ザ・ザ・イヤーに選ばれた中小企業二代目社長の奮闘記。
女だから目立つんです。ラッキー。
すべてに前向きに立ち向かっていく。


 高度成長期に工場を設立し、余命3年の息子を倍の年月生かした父が、とつぜん同じ病気に倒れ余命四日を宣告された。父にダイヤ精機を頼まれたのは次女。典型的な女の子として育てられた長女とは違い、次女は常に兄を意識し、工学部を卒業した。それでも女の子で重役秘書を目指して製造業に入社、しかし配置はエンジニアだった。紅一点。「お客様の誘いは絶対に断るな」という父の教えに従い、つきあいで給与をはたいた新卒時代。光熱費がストップしてコメはあれども炊飯器は動かず。生米を食(は)んだ事も一度や二度ではなかった。

 それでも寿退社をし、司会業に転身。二度父の工場に雇われたが、首になること二回。打率100%。
それでも工場幹部は次女を社長に指名した。
取引先からも「娘さんが社長に就任しないなら手形は受け取りません」と啖呵を切られる。
すべてが現金取引で、掛売不可。それじゃ実経営が立ち行かない。
反面、製造の中小企業に銀行はシビアだった。いきなりお前呼ばわりする支店長が合併の話を迫ってきた。
そんな銀行切ってしまえ、読みながら思ったが結局どうしたのだろう。

リーダーの心意気満々の父と違い、二代目は合理化、IT化をまず投入。改革リストラ、悪口会議と言われた問題点洗い出しのQC会議、取引先経路を得るために空箱を持って作業服姿で相手の敷地内を走ることもした。機械入手のために展示会にも言った。—機種は決まっている。はじめに声をかけてくれたところから購入だ。
「動け動け」がモットー、「これだけは絶対だれにも負けないというものを持ちなさい」と言いつづけた。大阪弁の日をもうけたり、受注が切れるとフットサルのクラブを社内に設立し現場とのコミュニケーションも図る。
「ケガしたらどうするんですか」
「大丈夫。ケガしたらやすんでいいよ。どうせ仕事はないから」

新人獲得のためにハローワークに出かけたり、パンフレットを一新したりもした。現場に近づく二代目女社長を支えたのは、古手の幹部たちだった。「社長を尊重しろ」
誰もが工場を大切にし、工場の存続を願った。IT活用で震災時にも納期どおりの納品を可能とし、どこにも負けないゲージを作る。

ラストにライターさんへに謝辞もあったので、もしかしたらゴーストライターが書いた本かもしれないけれど、とにかくどこを開いてもキラキラ光る奮闘記だった。

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「町工場の娘」 諏訪貴子著


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by mkbookies | 2016-06-23 13:09 | | Comments(0)

太宰は惜しみなく奪う 「太宰治の辞書」北村薫著

“人のものを盗んできて自分のものにちゃんと作り直す、ずるひくらいでせう。本当に此のずるさは厭になる” 

円紫さんシリーズ6冊目。
円紫さんとは気づかずに読みはじめた。
北村氏得意の中性的な語り口で、「私」が三島を語る。エッセイかと思ったら、「私」は小説家ではなしに出版社勤めであれれ? 謎解きが待ちきれずにページをとばすと、あちらこちらに「円紫さん」の文字が。大昔に短編集の二巻目と三巻目を 読んだことがあった。学生だった主人公はいつのまにか子持ちの共働きになっていた。円紫さんとはくっつかなかったのね。
主人公の私生活が多少アクセントとなりながら、全体的にはとっても学術的な話が広がる。「花火」「女生徒」の章で太宰治を掘り下げ、萩原朔太郎と進む。そして「太宰治の辞書」でついに結論が開ける。ロココという言葉をどういう意味合いで使ったか、どこの辞書からきた言葉か。

メインに流れる「女生徒」は、太宰の中でも破格の若さと勢い、と思っていたらファンの女学生、有島明淑が送ってきた日記を土台にしたものだった。もらった日記から啓発され、太宰ファンの文章をより太宰調に染めていった。
ちなみに彼の有名なフレーズ、「生まれてすみません」も詩人、寺内寿太郎氏からの引用だ。
原文は本当にすみません、と謝っていたのだろうけれど、太宰治が使うと”謝っていませんね。かわいそうでしょう、────だから、許してください。”
そういった話が主人公は出版社のコネクション、教授とのつてを使って次々と源を探って進む。

文頭は「有明淑の日記」有明淑著より。
ちなみにこれが太宰のもとに送られてきて、これを基に「女生徒」を発表。

短絡的に考えると盗用をあげつらう話となりそうだが、この本は太宰の擁護論になっている。
“第三者の文章という食材を口に入れては消化する。その食欲はすさまじいものです。もっとも取材し材料を集めて自分の中でまとめて発表するのは作家本来の働きです。その時≪作者である≫と最後に署名出版するかどうかは当人の力次第ですね。魔力といってもいい。月並みな人知は超えています”
話は次から次へとわきおこる疑問を解くことに集中し、ついには霧が晴れるような前途が見えた。
この本をテーマとして、いろんな人が書いた読書感想文を読んでみたくなった。


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この本についてもっときちんと知りたい方は、立ち読み 波 新潮社で北村薫氏のインタビューが公開されています。


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by mkbookies | 2016-06-22 05:20 | | Comments(2)

イタリア家族風林火山

テルマエのヤマザキマリさんが描いた 「イタリア家族 風林火山」を読む。
実は昨日遅延した列車待ちのホームと、45分遅れで来て渋滞しながら進む電車の中で読んでいたのだが、
公共の場所で笑ろた。
19hまでに手土産をゲットして、明朝に用意しなければいけないというのに、神戸駅でまったりと時を過ごし、遅延に普通はイライラするだろうタイムリミットが近づく中、真剣に読んだ。

そうそう、こんな感じ。地球上どこに行っても家族や近隣、友人知人そして見知らぬ人に振り回されるのよね~。でもラテン系はこうなのかしらん、イタリアって、そしてポルトガルってもっと自由な国なのかもしれない。アモーレな国だし、あの国は、
思いながら読んでいたけれど、だんだんヤマザキマリさんの勢いにのまれ、完璧に掌で転がされる。

シングルマザーがいかに14歳年下の夫と結ばれ、同居生活を生き抜いていくか。そして海外で職を得る。漫画家として。
この人のパワーはタダモノではない。
まるで国際結婚の歩き方、イタリアン・マンマ編。

これを読んでなお、あなたは国際結婚(ライフ)にあこがれますか。

生き抜くにはパワーがい必要だ。

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by mkbookies | 2016-06-20 08:07 | マンガ | Comments(0)

JR神戸線 神戸駅で足止め

JR塩屋で人身がありホームで一時間待ち。待てる人は無言。振り替える人も改札フロアで言葉少なく。片手にスマホ、携帯。結局予定時間より早く復旧。こんな時は車内スマホも大目に見られる。こんなに静かな群像はフランス人には信じられないだろう。かの国は袖触り合った人たちとしゃべるしゃべる。話すことで自己表現。気持ちを吐き出して後には引かせない。スマホで吐露は浸透しているけれど、それでも気が向けば顔を上げて話しはじめる。スマホはコミュニケーションの選択肢を乗増させただけ。

なにはともあれこの国は復旧が早い。かの国はTGVともに半日止めたこともあった。それは人身の後、線路をパリまで歩こうとした人がいたからで。パリまで700キロはゆうにあるというのに。
そういえばやけにヘリが飛んでいると思ったら、鉄道の操縦士が昼日中、「人をはねた」といって止まず、遺体が見当たらないのでヘリまで飛ばして郊外を捜索したことがあった。結局死に切れなかった人は歩いて自宅に帰って、怪我をしたまま自分のベットに入るところを家の人が発見して落ち着いたが、落ち着かなかったのはそれからのその人の人生だろう。

自分は大丈夫、関係ない、思う反面、気をつけないととも心する。歩いているのは自分一人ではないのだから。

昨日身を投げた人は一命を取りとめたらしい。これからが大変だ。頑張ってとしか言いようがない。

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by mkbookies | 2016-06-20 04:24 | 徒然 | Comments(0)

冥途あり ささみみささめ 長野まゆみ

「冥途あり」 長野まゆみ


この本は泉鏡花賞と野間文芸賞を受賞したと聞いた。
賞も取ったしこのタイトルだし、きっとマジメな内容だと思ったらまた騙された。
ワールド炸裂じゃん。
でもBLではない。
それ以外の長野まゆみワールドが、所狭しと詰め込まれている。
ホントとウソの境界がない話を広げる親戚、破天荒な祖父、
空襲や震災、そして大火に洪水にみまわれて、家財も資産もあったものではない。それでも祖父が大事にしていた硯は残った。
祖父の葬儀に来たあの女性はだれ? 顔も知らぬ叔母なのか? それとも祖父の名付けた女の子? 女の子は庶子で、本妻さんが奪いに来たのを祖父が救ったという。家から連れ出し、結局それが震災から救うことにもなった。
東京生まれの東京育ちだと思っていた父が実は広島に疎開した時期があった。それも終戦間際のあの頃に。
いい加減な祖父、転籍魔の曽祖父、広島室蘭と戸籍を転々と動かしている。おかげで室蘭生まれの子供が6人、広島がひとり、そして東京。
どこをめくっても著者好みの世界ばかり。
BLがない分わたしには安心して読めた。
そういう形で、この人の読者層が広がると、ちょっと私もうれしいな。
灰汁はとってもきついけど、ここまで我が道を行く、そういう姿勢にとっても惚れる。

「箪笥のなか」、「となりの姉妹」、「ささみみささめ」が好きならば、きっとこれもいけるだろう。
「天然理科少年」みたいなお父さんが好きならそちらも。

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長野まゆみ 「冥途あり」


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長野まゆみ 「ささみみささめ」






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by mkbookies | 2016-06-18 16:24 | | Comments(0)

王子動物園 大人のための動物園講座

「王子動物園に行こう」
遠方の叔母が、臨月だった母と長男を迎えにはるばる車で出向いてくれた日、胎児だった私はこの世に出てこようと思った。のかどうかは知らないが、生まれてすぐ遊びに行けると思うへんはとっても私だ。前日まで兄(長男)や母が動物園の話をするのに羨んだのか、単に腹の中が飽きたのか、はたまた母が押し出したのか、今となってはさっぱり記憶の果てだ。なにはともあれ当時の王子動物園は、チンパンジーやカンガルーのお産は診ても、ヒトのお産は範疇にはなかった。かくて私と母はお出かけを逃し、1歳半だった兄はまんまと従兄姉たちとの楽しい動物園を満喫したのだった(はず)

 その後無事に生を受け、神戸生まれの神戸育ちとなった私は花見に写生会に秋の遠足に、さんざん動物園まで歩かせられる幼年時代を送った。それでも逃した魚は大きい。動物園で生まれていたら、生涯動物園フリーパスなるものを手に入れていたかもしれなかったのに。

そんな制度は存在しないのだけれど。

先日「王子動物園 大人のための動物園講座 参加者募集」を聞いた。
第36回ということだが、初めて耳にした。定員60名。潜りこめるか? 淡い夢を抱いて申込み、約250名の応募の中に見事にうずもれてしまった。
応募するときに思ったのだ。
— 兄の名前で申し込もうか。

兄は名前を書けば懸賞に当たる特異体質。
幼稚園の抽選、甲子園の内野席も難なくクリアする福男体質。
あの時兄の名前を書いておけば。
そうしたら、幼少時の動物園に置いてきぼりを食らったトラウマも、少しは溜飲を下げられたことだろう。

あぁ行きたかったな。





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by mkbookies | 2016-06-16 22:26 | つれづれ | Comments(0)