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2015 Myベスト


しみじみ編:

病身で家にこもっていた時の、かたつむり観察記。
前半はかたつむりの徘徊の跡を追って家を探索し、さまざまな思いを巡らせる。
元気になるにつれ、ジャーナリストの職業意識か、かたつむりについて調べはじめた。
うちのかたつむりは一体何種? 
これも一種の闘病記。

「カタツムリが食べる音」 エリザベス・トーヴァ・ベイリー(Elisabeth Tova Bailey)著
(原題:Sound of a Wild Snail Eating  )
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波瀾万丈うそばっかり、歴史冒険物語編: ウンベルト・エーコ 「プラハの墓地」
フリーメイソン、イタリア独立戦争、歴史のことがちょいとわかった気になれる。
うその中にほんとを探せ。(←これは谷川俊太郎)

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次に笑える編:

毎年笑えると言えばアメリ・ノートン。
「Le crime du Comte Neville」 直訳:「ヌビル伯爵の犯罪」
ベルギーの古城の保持が大変、
手放すと決めた伯爵が、最後にガーデンパーティを催す。パーティ開催の前に、おせっかいな預言者が不吉な言葉を口にした。
- パーティであなたは招待客を殺すだろう。
頭を抱える伯爵に、ティーンの娘が言いだした。
- それなら私を殺してよ。

解決法は何もかもが、破天荒。


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もっと笑えた編:

ワイフ・プロジェクト。:Graeme SIMSION著。

アスペルガーの入っているだろう遺伝子専門家の恋物語。本人は至って真面目だし、悪い人じゃないんだけどね。
とっても幸せになってほしい男です。



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そしてまじめ編:

原題Le Miel(直訳:はちみつ)Slobodan DESPOT著

幻想と第六感から始まって、偶然は様々な奇跡を呼ぶ。
過酷な現実に、努力で立ち向かう息子と、運と勘で生きる父。

民族戦争について、こんなにまじめに読んだのは初めてだった。


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最後に、終わりよければ全て良し編:DVD:
「アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜」
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タイムトラベラーの資質を優性遺伝した青年の話。

やっぱりラストは笑顔で締めたいもの。

2016年が、みなさまにとって良い年となりますように。




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by mkbookies | 2015-12-31 16:28 | 洋書 | Comments(0)

はちみつ

朝市に蜂蜜のスタンドが出ている。プラスチックの簡単な入れ物に蓋を載せただけのパッケージ。はちみつなので、小さなテーブルに山と並べられているのだが、売り手のおっちゃんがいた例(ためし)がない。

以前はマダムと一緒に出店していた。マダムが怪我をしたとか体を壊したとかで孫やおっちゃんが代わりばんこで店を出すようになり、最近はおっちゃんがメイン。
このおっちゃんを捕まえるのに毎回一苦労。

前の野菜売りのスタンドで油を売っていたらいいほうで、たまに広場の反対側まで散歩に出ている。
一度市場の出口でやっと見つけたと思えば
- 今からコーヒー飲んでくる。また後でおいで。
翌週面倒くさくなって、30メートルは離れている別のスタンドではちみつを買ったら、店主の後ろからにゅっと出てきたり。
同業者同士だと話も合うらしい。

毎週朝市に行く度に、今日はどこで会えるか、ちょっと楽しみにしているひょうひょうとしたオヤジ。

本屋で表紙を見るなり、この商売っけのない親父を思い出し、思わず購入。
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原題Le Miel(直訳:はちみつ)Slobodan DESPOT著


薬草療法士とでもいうのだろうか、Herboristの女性が、大げんかをしている男たちと出くわした。故障した車を前に若目の方が怒り狂っている。もう絞めてやると、でめえのせいで、とか騒いでいる。あの時300ドイツマルクを使ったのがケチのつきはじめ。300さえあれば新しい車を買って云々。
療法士は思わず手持ちの300を出して、押し付けると逃げるようにその場を去った。

数カ月後、悪態男が療法士を訪ね当ててきた。300マルクをかえすという。それから蜂蜜を50キロ持参してきた。
薬として診療所では月に10キロは必要だ。今年は蜂蜜が不作で、工面に苦り切っていたところ。
- 言葉が足りなくて申し訳なかったのですが、300マルクは貸したんじゃなく、差し上げたんです。蜂蜜は、いくら払えば。
ー うちのクソ親父がもう何ヶ月も返せ返せって煩いんだ。それに、蜂蜜は売るんじゃない。年寄りが持って行けっていって聞かないから持ってきたんで。これは置いていく。
 療法士は男に事情を聞いてみた。男の話は時をさかのぼり、事の発端はユーゴスラビア紛争。途方もなく長い道のりを経た話が語られる。
今はもうないユーゴスラビア、クロアチア、そして廃虚へ父親を迎えに行った話。

※※※※※※※ 以下感想。

 ユーゴスラビア、クロアチア、 紛争があったのは知っていたが、すべてが遠い国の出来事だった。
始まりは梨木香歩のピスタチオのような幻想的な空気を持っていたが、進むに連れて深刻になっていく。なにしろ話の根底は民族紛争、戦いに暴力。昨日の同僚が今日の敵。行く先々に障害が立ちふさがる。
その影とは対照的に、男の父親が妙な魅力を持っている。パッと見はしょぼい。養蜂一筋、どこか人を喰った、ひょうひょうと直感で動くひょろひょろのトシヨリ。
やることなすこと説明足らずのひとりよがりな行き当たりばったり。しかそれが会った人を助けたりする。荒れた世界に魔法をかけるような存在。
この親父がいなければ、この話は最後まで読み続けられなかった。

生まれた国を見たことのない、スザンナという名の女性に捧げられた本。
この父親は、誰かモデルがいるのだろうか。





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by mkbookies | 2015-12-24 07:01 | 洋書 | Comments(0)

ウンターリンデン開きました

クリスマスは手ぶらでは迎えられない一族行事。

手ぶらでは参加できない。参加しようとしまいと、手ぶらでは越せさせられない三日間。
義母に義妹に姪っ子に、プレゼントを捜す。
特に先日義母から頂いたクリスマスクッキーはさっさとその日に平らげてしまったので、感謝の意もとってもフレッシュ。
このために仕事を一日休んだ。
この態度は自分でも信じられないが、親親族、子供のために国をあげてプレゼントを探す人混みは、日を追うごとに殺気立っていく。避けれるものなら避けたいのだ。

時機を平行して近所の博物館&美術館が二年以上の改装の末、再オープンした。

長い間、工事中で迷惑をお掛けしました。
「この木曜、金曜日は市民に限りご招待」
そんな招待状が町の無料誌にくっついていた。
よかった紙ゴミに直行させなくて。

平日の朝なんて、引退したご老人ばかりだろうな、思っていたら案の定。自分がとっても若く見える。わーい。

千年近い歴史のある建物は中身が白く塗りつぶされ、塗装の匂いがフレッシュ。まだ工事の作業員がうろうろ。中身はまだまだ工事中。

遅れに遅れた工事は招待状を出した末にやっとの見切り発車。

- ここはどこに続くの?
- 上、行き止まりだよ。

誰もが初めて訪れる改装初のご招待。
みんな右往左往。
- この上が川だよ。
昔あった伝説の地下道も改装された模様。
白い壁の中に以前見慣れた絵画が並ぶ。
- 新しいのないんだね。
- まだそれどころじゃないんでしょう。

白い壁が目につく大昔の修道院。
今週末には一般公開がはじまる。
観光客にも、少し早めのクリスマスプレゼント。

美術館の後はなんとかブツを揃えられた。
あとは24日を待つのみ。

思っていたら、夜中に14才が冷蔵庫を開ける。
あの、そのサーモン、クリスマスディナーなんですけど。
今年も無事に年が越せたらいいな。





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by mkbookies | 2015-12-11 15:47 | アルザス | Comments(0)

ロージー・プロジェクト


- そろそろ奥さんをもらったら。
友人の言葉に計画を立てはじめた30代の大学教授ダン、遺伝子学を専門としている。
何事も論理的、合理的、効率的。チェック事項を作成し、点数の高い女性を伴侶とすればいい。配偶者プロジェクトのもと、チェックリストを用意して、出会いの場所に積極的に参加していく。
この女性はアルコールが。タバコ、髪染。理想の女性はなかなか見つからず、試行錯誤している中、研究室に若い女の子が現れた。
紹介者はプロジェクトを知る教授の名前。
20代は対象外だが、友人からの紹介ならばと夕食に招待した。
超高級のレストラン。
しかし女の子の目的は「遺伝子学の先生に頼む、母子家庭の父親探し」だった。

※※※※※※
オーストラリア発、「Lost & Found」を読んだならこれは?とブクログ談話室で勧められ、手を出した一冊。
フランス版の表紙も魅力的だったし。


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Comment Trouver La Femme Idéale ou le Théorème du homard 著者:Graeme SIMSION
ちなみに原書は Rosie Project


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小難しく書いてあるけれど中身はミスター・ビーン。
惚れた腫れた。コミュニケーション度の低い、アスペルガーがかった理屈臭い先生と、小娘の、とびっきりフットワークの軽い元気なラブストーリー。

バスの中や人待ちのひだまりの下で読んだのだけれど、思わず吹き出したり、取り残される女の子に涙したり。
DNAを求めてのカクテルパーティのシーンは圧巻。
ニューヨークの場面では古くさくも松田聖子の歌、「赤いスイートピー」を思い出した。
読むうちの不器用な主人公の素に慣れてきて、この人の味を大事にして~と思ってしまう。
とびっきりのラブストーリーだった。

日本語訳は「ワイフ・プロジェクト」
ただ表紙がかなり可哀相。
こういう男はまずは周りが魅力を盛り上げてあげないと。


※※※ おまけ ※※※※※
内容はさておき、主人公は頭のなかで小難しく考えると聞き、英語じゃだめかもとフランス語で読んだ。
主人公が初めて会う人の推定年齢とIMCなるものをいちいち頭のなかで割り出していく。
IMC?
これだけは最後まで読んでもわからなかった。
あらためて調べて笑ってしまった。
ボディマス指数。肥満度、だっのね。
まったくこの男、噛めば噛むほどいい味出してくれました。

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

+ この本を読む元になったLost&Foundは10/19に。
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ああ、楽しかった。

ロージープロジェクトは映画化の話もあったが、今のところは保留と聞いた。
無茶を承知で言うならば、時空を超えて三原順氏にマンガにしてもらいたい本。



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by mkbookies | 2015-12-07 14:56 | 洋書 | Comments(0)