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いただきもの

「遠くの親戚より近くの他人やで」
母が力強く言ったのは、わたしがまだ5才の頃だったと思う。
兄弟親戚の多い母だったので、ごっついこと言うなぁと子供ながらに言うと、
「いや、ホンマや」
とこれまた力強く言い返された。

と、思う。

小学校に上る前なので物心が定かではない。

別に一族、仲が悪いわけではなく、盆と正月、それから法事と何かと集合しては和気あいあいとやっていた一族だった。
あの頃母はなにをもってそんなことを言い出したのだろう。

先日“元近くの他人”からいただきものをした。
近くの他人というより、わたしにとっての“近くの姐さま、芸術・料理・手作業の神様”なのだけれど、
久方ご無沙汰していたおねぇさま。

いただきものが

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何を今更と言うなかれ。
この僻地で日本の本は貴重なのです。
そしてなにより、
私の趣味をストライク。

持つべきものは“姐さま”だわぁ。

うっふっふ。ありがとうございました~。

  ああ風呂に入りたい。


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by mkbookies | 2015-04-28 02:33 | マンガ | Comments(0)

プラハのユダヤ人墓地

 ウンベルト・エーコ著 「プラハの墓場」読了

 550ページ、詰まった内容とむつかしい単語で二年はかかるかと思ったが、凝った設定と謎かけに釣りこまれ、辞書を片手に一ヶ月で読了。
内容が濃いので辞書がまったくじゃまにならなかった。(というか、辞書と歴史の参考書抜きでは手も足も出なかった)
以下あらすじを書くけれど、この本の醍醐味は主人公の嗜好。なぜか目を話せないあぶない男。それから歴史に秘儀に登場人物。そして食も見逃せない。つまり、あらすじくらいではこの本はわからない、ということをあらかじめ言っておく。

※※※※

 1897年パリ、裏路地の胡散臭い骨董品屋、奥には玄人向きの物品が並び、その階上では古書捏造業が営まれていた。
 店主は67才。家族のいないひとり暮らし。心に浮かぶままを回想録を書き綴る。
 いつしかそこに得体のしれない筆跡が現れはじめる。
 そういえばここのところ記憶が途切れがちである。いったい何があったのか。

 わからない単語はいちいち辞書で調べたが、おかげで半分訳本ができたようなもの。
 後から見返すとイシビラメだとかズアオホウジロ、鋤骨から腿にかけての肉や食べ物の記述がやたら多い。
 そういえば食べっぷりのいい、レストランで昼も夜も朝まで美食を食べる男だった。
 そして食の描写に気を取られていると、思わぬところで読み手の足はすくわれる。

 さて回想録。主人公は、学校に通わず祖父のもとでテンプル騎士団やフランス革命の話を聞きながら育った。教養は近所のカトリック聖職者から授かる。まさに純粋培養。祖父の反ユダヤ的考え方も常識として受け継いだ。後に大学で法学を学ぶが興味が持てず、公証人の元で仕事につく。(要は代書屋の丁稚)それでもどこか足が地に着かない生活をしている中フリーメイソンに見初められ、統一運動が白熱するイタリアへの派遣となる。
 同じく運動に熱を上げるアレクサンドラ・デュマと合流し、飲めや歌えや大騒ぎをしつつもテロ任務を遂行した。
 フランスに帰国すると折しもパリはプロイセン軍が兵糧攻めの真っ最中。市民は食糧難に苦しんでいる。犬猫駄馬どころか、ネズミすらも食用とされ、クリスマスのシーズンともなると動物園から異国の動物が端から姿を消していった。その頃金持ちのテーブルに上ったもの、ゾウにラクダ、カンガルーにアンティロープ。「この頃食べたキジとガチョウのフォアグラは美味かった。特に新鮮さがこの上なく」とは、いったいどれだけ“新鮮”だったのだ。

 パリの任務は地下路の地図作成。プロイセンの知らない通路から攻める、という意図を告げられた。そんなもの敵はとっくに把握しているわい。腹の中でつぶやきつつも、結局報酬をくれるというので引き受ける。以前から知っていた地下を通ってパリ・コミューンの前線を見学。市民蜂起とパリ炎上、血の一週間から残党のベルサイユ連行まで、つぶさに主人公は傍観することとなる。

 その後プロイセン軍は撤退となる。一段落ついてそろそろ地味に暮らすのかと思いきや、文書偽造の声がかかる。ここでかかわった書類がふたつの反ユダヤ運動へとつながっていく。シオン議定書(ユダヤの長老達のプロトコル)とドレフュス事件。前者はユダヤ人密会録、のちにナチスのホロコーストにつながったロシアの怪文書。後者のドレフュスはユダヤ人軍人冤罪事件。証拠もないまま有罪とされ、フランス軍が懸命にもみ消そうとした事件だが、結局特赦の末無罪判決。軍人釈放後も文豪ゾラが新聞に怒りの抗議文を発表したことで一層反ユダヤ問題を盛り上げてしまった事件。ただそれは、主人公が忘れてしまった頃の出来事。
 
 めまぐるしいことの展開が台風のようにおしよせ、一過の後は主人公の精も根も燃えつきていた。この後最後の20ページ、美食に専念して食べ狂ってもいいのではないか、この主人公なら許される、思わせる頃再び任務が科せられる。
 
※※※※※※
 史実に基づいた事実が凝った手法で語られている。この書き方につられて苦手な世界史も結局最後まで読んでしまった。
 こういう本で歴史が習えれば、世界史ももっとやる気になったのに。

 あとがきで著者が書く。主人公以外は実際に存在した人物である。そして主人公にしても、どこにいてもおかしくはない輩であろう。

 完成度の高い作品というのは、こういう本なのか。非常に読み応えがある一冊だった。

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ウンベルト・エーコ(umberto eco)著 「プラハの墓地( 原題Il cimitero di Praga)」創元社から年内出版予定。

同著者がユダヤに関するエッセイ、「敵を作る(Costruire il nemico)」を出版している。
ご縁があったら読見たい本。
                          
※※※※

註: 邦題は当方の直訳です。


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by mkbookies | 2015-04-26 15:14 | 洋書 | Comments(0)

短篇集はランダムアクセス

メリー・ポピンズ対ウォルト・ディズニーの映画、「ウォルト・ディズニーの約束」を見てからメリー・ポピンズをちょこちょこ読み返している。
短篇集で、順番に読んでいく必要もない。気が向くままにページを開いて、目についた章を読みはじめる。
数十年前はかんぜん子供目線で読んでいた。
「甘えていはいけない。子供を眼力で制圧し、おまけに得体のしれない力ももっているメリー・ポピンズ。なんでこの人はわざわざ“子守り”をやってるんだ。このひとだけは敵には回したくない。でも会いたいわぁ」思いつつ読んだ。結局「人間関係、距離が肝心」と諭されたような本だった。
今回は映画目線、これは子供を救う話ではないと心に言い聞かせながら読む。
それでもドロドロのドクは感じられない。違った面から楽しめて、一シリーズで二度美味しい「児童書」だ。

短篇集・なつかしい本つながりでレイ・ブラッドベリを思い出した。
大昔「みずうみ」、「霧笛」と萩尾望都のマンガで知り、そこから「10月はたそがれの国」を宇野利泰さん訳で読んだことがあった。
やっぱり萩尾望都さんで読みたいよな、と感想をいだいたことがあった。
一番初めの学習を長くひきずる刷り込み効果。

なにはともあれ十年ぶりに手にとったブラッドベリー、再開のはじめは「バビロン行きのの夜行列車」。
短篇集なのでアクセスは今マイブームの《本はまん中から読む》。(関係ないが新聞は今も昔も後ろから読む)
なにはともあれ開いた先にあったのが“鏡”。

コラルとジュリアは双生児。どちらがどちらか見分けがつかぬ。いつも同じ服を着て、靴も一緒で髪も同じ。いつも一緒に時を過ごす。

萩尾望都の「半身」かとおもいきや、この双子は卵子がきれいに分裂し、産道をひとりずつ順番に進んで生まれたふつうの双子だった。
小学館の漫画を読んでいるのか、ブラッドベリーの肉声を聞いているのか、確認するかのように読み進める。
内気だ短気だ怒りん坊だ、笑い上戸だ、そんな描写は一切なし。
気持ちも反応もすべて会話と行動でつづらる。
感情表現は最後の一瞬だけ。
それも迷宮に誘いこむような一言で。
英数字あわせて36種類だけのはずなのに、それが組み合わされリズムを持って詩を奏でる。いつのまにか五感に訴え、映像を見せる。
気を抜いたら四次元にさそいこまれるかもしれない世界だった。



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レイ・ブラッドベリ著「バビロン行きのの夜行列車」
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by mkbookies | 2015-04-13 00:14 | 洋書 | Comments(0)

またまたプラハの墓場 (3)

プラハ、3/5くらいまでは着ているのだが、またまた何のことやらわからなくなってきた。
章タイトル 「コミューンの日々」
コミューンって何?
時は普仏戦争、1870年代前半のパリ。
このころドイツとフランスがもめて国境の地方、アルザスがまたドイツにとられたのは耳にしていた。
フランス万歳と先生が黒板に書いた、「最後の授業」(ドーテ著)の頃だ。
が、そのころのパリ事情はまったく知らなかった。
国境アルザスは、境遇しだいでドイツ軍にはいったり、フランス軍となったり、そして敵軍に身内がいたりと、激動の時代だった。
この地方の事情で聞く方ももう頭がいっぱいになってしまっていた。


というわけで、プラハの墓場。主人公が、パリの地下路について力説する。地下路の地図を報告する任務につく。それがどうして重要なのかまったく意図がつかめなかった。

歴史の本を再度引っ張りだした。
普仏戦争でナポレオン三世退陣 1870年。
翌年「パリ・コミューン陥落」

だから一体、「コミューン」ってなんなんだい。
歴史の本をもう少し読み進めてみる。

パリでバリケードが組まれ、そこのドイツ兵が攻め、つぎつぎと犠牲者が出る。
パリ市民は敗け色の濃いドイツとの戦いで、さいごまで抵抗し、自分たちの自治体をまもるために体を張ったのだ。
その自治体がコミューン。

高校の世界史も、こうやって説明してくれたら頭に入っただろうに。

そう言うと、そんなことはちゃん言った。ほら教科書にも書いてある。そう教師に言い返されるだろう。

パリ近代史の糸口が、ウンベルト・エコ著のプラハのお陰で、なんとかやっと見えてきた。
この主人公を通じて、激動のヨーロッパをつづった話

歴史に疎くて先が見えない。


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by mkbookies | 2015-04-07 05:41 | 洋書 | Comments(0)

週末が来るたびに

週末がくるたびに、読みたい本を何冊も引っ張り出し、週末が終わるたびに片付ける。
半分は手付かず。

こんなことをしていていいのだろうかと思う反面、
このムダな時間がわたしにとっての至極の時なんだなぁと、
本を触りながらつくづく思う。

近所の古本屋さんで三冊一万円のデュマ豪華本が無造作に棚に並べてあった。
ー 欲しいものがあれば探しなさい。
が店のポリシー。

コンピュータ管理もされているが、大物は店長の頭のなかに秘められている。

日曜祝日は基本的には営業禁止というのがこの地方の法律。
飲食業、土産物屋はこの限りではない。(が、営業料は吸い揚げあられる)
旧市街の目抜き通りに位置するこの古本屋。
絵葉書なども並べとりあえず土産物屋も兼ねているふり。

この本屋の中身が実はすごいのだと、一見さんにはわからない。




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by mkbookies | 2015-04-05 17:01 | アルザス | Comments(0)

イースター休暇に休日出勤

うまれてはじめて、フランスのカイシャの休日出勤というのを体験した。
3月末じめの年度末がイースター休みとかさなった。金土日月の四連休が消えることに。
現場の希望は金曜に出勤。何とか片付けて後の三連休を入手。

そこに労働組合から組合のマッタがかかった。
「金曜祝日に働かせるとは何ごとか。カイシャは従業員をなんとこころえている」

さすがフランスの労働組合は強い。
どこまでも“従業員の代表、組合”に優しい。
休日出勤依頼は“県庁の許可”が必要という決議。
しかし“従業員”は実は金曜に出て、三連休がほしいのだ。

お上の判断は時間がかかる。そして結果が出たのがつい二日前。
“金曜日は祝日。組合の要求を聞き入れ、カイシャは出勤を無効とすること”。
締め日は翌週の火曜日。
現場はあえなく土曜日出勤するはめに。

現場の反感はただひとつ。
三連休は得られないの!?
「食料買い出しはどうするの」
(日、月は休祝日のため店は閉店)(おまけにイースターはクリスマスに継ぐ“親族集合一大行事。月曜日は呑めや歌絵の大騒ぎディ)(一昔前の“盆と正月”だわな)


盆と正月が一日減ったにしても、結局従業員の質がいいのか、だれもが締めに間に合わせようと、結局きちんとまじめに土曜日出勤。

課題(レポート)の出来たものから帰ってよし。
まぁ学校の居残りのようなもの。
できりゃぁさっさ返る権利に、上司も部下も格差なく。
というわけでみんな普段以上に早く出社。

出射するものの、各自手に手に人数分の
「クロワッサン、チョコパン」
「クッキー」
「コーラ等ソフトドリンク、」
「チョコ」
「本格派チョコケーキ」
などなど。

お昼は当然のように上司に「ピザの宅配」を請求。
それも全国区で評判のイタリアンレストランから。
ラングスコ、イタリアロゼの発泡酒がでてこないだけで、なんだかみんなお祭り気分。

締めに合わせきちんとレポートを済ませる、という態度は立派。
(おねがいだから、そんなことはできてあたりまえと片付けないで)
けれど、どこかやっぱりイースターの陽気がどこからともなく漂ってくる、妙に明るい一日が、あっという間に過ぎていった。

日本の休日出勤は、それはそれで楽しかったけれど、こんなに味わいのある出勤ははじめて。
これが文化の差というものか。
グルメの国はレベルがちがう。

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by mkbookies | 2015-04-05 04:35 | つれづれ | Comments(0)

プラハの墓場、デュマとポー

プラハの墓場でデュマが出てきていたので、デュマをちょいと読んでみる。
“1860年、イタリアで連載されていたデュマの作品。
ちなみに1860年といえば日本では桜田門外の変、アメリカではリンカーンが大統領になった年。

表題が“L'Assassint de la Rue Saint-Roch”(直訳:サン・ロッシュ通りの殺人) イタリア語だからサント=ロッチ?
表紙はポーの「モルグ街の殺人」。
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以下、青字があらすじ。


 盗人(ぬすっと)と人殺しが多い地があるとすればそれはナポリ。
  盗人と人殺しに罪が問われない地があるとすれば、それはナポリ。

ふむふむ。

警察についてのうんちくが続くうちに主人公のところにエドガー・アラン・ポーが来訪した。
ふたりで夜を楽しむように、好き勝手な同居生活。
そんなある夜、絹を裂くような悲鳴があがった。
女性がふたりで住んでいる館。なにか大変な事件おこった模様。

話が進むにつれ、どこかで読んだような、という既視感にとらわれる。
本をひっくりかえす。背表紙に「2013年に発掘された作品。忘れていた小品」
わたしは前世イタリアにいたのかしらん。

堅く閉ざされていた扉を警察と集まっていた近所の住人で押し破り、中に入ると荒らされた館の中、惨殺死体が一体。もうひとりは、暖炉の上に押し込まれていた。屋敷は密室。犯人はどこから逃げたのか。

この話、やっぱり読んだことがある。
フランスをすっとばかして、日本で訳されていたのだろうか。

犯行を耳にした近所の証言
ー あれはフランス人の声だ。
プランス語を解さない人が言う。
ー あの声はスペイン語だった。
言う本人はスペイン語は話せない。
ー あれがロシア語だ。
証言者はロシア語を知らず。


どこで読んだんだろう。

被害者の手の中に握りしめられていた毛は、人間の髪ではない。

え? これって?
ポーの表紙はデュマもネタバレ?

ポーとデュマは実際に交流があった。
モルグ街の初出が1841年。アヘン戦争の頃。

モルグ街のイタリアバージョンをデュマは連載をしていたのね。
昔の流行歌を方言で復活するようなものなのか。

話変わって、今読んでいる最中の「プラハの墓場」。
こちらでは主人公が仕事に励んでいる。
でっちあげの史実を裏付るものとして、贋作をひとつ作成した。
切迫感のある傑作に仕上がったと、自信満々で納品。
けれど仲介者が先に盗用しており、注文者は恥をかくはめになる。
苦情をうけて激怒した主人公は、仲介者を撲殺し、そのまま死体を遺棄しに歩く。

作品コピー、悲喜こもごも。





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by mkbookies | 2015-04-03 17:33 | 洋書 | Comments(0)