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ひさびさにアメリカ人の料理人と会う。
4児の母。子育てもある程度落ち着いてきたので、やっと会う時間が出来た。 この国はバイトすると手当が切られてすぐ足が出るのよね~、言いつつも働かずにはいられない彼女、英語教師を勤めるかたわら、自然食の食材&レシピセットのパートタイムをやっているとのこと。 ー ブロッコリー800グラムって、そろえるの、難しいのよぉ。 言いつつアーモンドの身を包丁で砕いていく。 なんでもかんでもミキサーを使う私にとっては、きちんと料理のできる人は天の上の人に見える。 そう言えば、「ジュリーとジュリア」の映画、見たよ。アメリカってあんな感じなの? と聞くと、 あれはいい映画だよね、でも全部の料理を二人分に計算し直すってすっごい大変だと思う。 料理のできる人は観点がちがう。 そうか、わたしがいつも作りすぎるのは、レシピ通り作っていたせいかと今頃気づく。 しゃべりながらブロッコリーを切り、ネギを千切り。 この人ならジュリアレベルで玉ねぎをみじん切りにしてしまうだろう。 料理の美味しそうな映画といえばベラマータ、(「マーサの幸せレシピ」、アメリカ版「幸せのレシピ」のオリジナル) ![]() 1月にも書いたが、ドイツの女性シェフが、イタリア料理人にポジションを脅かされる話。 突然しょいこんだ姪っ子とともに、イタリア人の料理人に魅了されていくあたりが見もの。 そしてイタリア料理がこりゃまた見もの。 (ぜったいこの役者が作ったわけではないだろう、とは言いたくなるが) ラストに結婚式の場面があるが、これは蛇足だったかな、と思っていた。 これを見るまでは。 トスカーナの休日。 ![]() 異国でいきなり家を買ったけれど、この家で家族をもって、結婚式を開きたかった。 うろ覚えだが主人公がそんなことを言った気がする。 マンマ・ミアも結婚式の“披露宴”で終わっていた。 みんなで飲んで騒いで大騒ぎ。 欧米の人には(と無理やり十把一絡げにする)、世代を超えたパーティはいつになっても大切なモノなんだろう。 テーブルの上の料理はマーサの幸せのレシピが絶品だが、一番ためになったのは、先日のアメリカン4児の母の実演。 台所は鍋が揃い、香辛料、豆類はきちんと保存瓶におさめられ、棚に陳列されている。 オーブンは業務用、火力はやっぱりガスが一番。 そして手早く色よく調理されていく無農薬の野菜たち。 きちんと作るということは、きちんと育つということなのか。 たくさん食べてたくさん笑う。 食べ盛りの学童児たちは、すっかり大人サイズになっていた。 ![]() ▲
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| 2015-03-28 15:53
| アルザス
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ウンベルト・エーコの「プラハの墓場」を読んでいる。
(墓地? これについての言及がまだ二行しか出てきていないのでなんとも言いかねる) 翻訳物が苦手で、海外古典文学はほぼ未読に近い。 世界史が苦手だったのはカタカナにとっつけなかったせい。 言い訳なんて、探そうと思えばいくらでも見つかる。 さて、エーコの「プラハ」でやたら「デュマに会った」「デュマに賞賛された」と出てきた。 さすがにアレクサンドル・デュマが「三銃士」や「岩窟王」を書いた人だとは知っているが、デュマの生涯までは知らなかった。 たまたま松岡正剛氏の千夜千冊の1220夜に、モンテ・クリスト伯があった。(1220夜) モンテ・クリスト伯って、岩窟王だよね、思いながら読んでいたらデュマの生涯に話はひろがっていった。 “デュマが“偽物だか本物だかわからないモンテ・クリスト伯”になっていった”(1220夜からの引用) 女出入りはさっぱりだけれど、これに近いものを、「プラハの墓場」の主人公は語っているような。 それもいくつもの伏線を絡めて。 デュマの物語やその生涯、そして世界史を知っている人にとっては、この「プラハ」は喉から手が出るほど読みたくなるだろう。 無知のわたしにとっては逆にデュマの生涯や作品、ヨーロッパ近世、近代史へのとっかりとなるかもしれない。 そうはいっても話がどうも胡散臭すぎる。 みだらとか危ないとか、そういう世界ではない。 けれど“生徒”に進んで読ませたくなる話じゃぁ、まったくない。 こういう変な話って、なんだか読みすすめてしまうんだよねぇ。 ![]() にほんブログ村 ▲
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| 2015-03-27 16:51
| 洋書
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ウンベルト・エーコ、「プラハの墓場」を読んでいる。
パリのちょっとうさんくさい骨董商の話。 どうしても思い出せない時間がある現在、子供の頃の話、若いころの活躍、とどろどろした雰囲気の中で話が進んでいく。 と思っていたら、途中で話がちんぷんかんぷんになってきた。 地名? 人名?なんだかよくわからない。若借りし頃、ナポレオンの時代。この時代にイタリアに送りこまれることを、どうして主人公は鼻息荒く語るのだろう。まわりもどうして奮起しているのか? 世界史の本をひっぱりだす。 イタリア統一運動の真っ最中だった。 日本で言えば倒幕、世直し、一大事。 ガリバルディが千人隊を率いりシチリア島に上陸。社会改革をめざしブルボン王朝を追い出した。 イタリアの“フランス革命” 世界史の授業を聞いていなかったツケが今頃回ってきた。 まぁ、学び時の到来と思うことにしよう。 デュマとともにイタリアで戦う主人公。緊迫感がひしひしと伝わる。 けれど主人公はさらりと言う。当時の書付が見あたらない。 またこの主人公、大丈夫?聞きたくなるほど、することなすこと胡散臭い。 ちゃんとしたあらすじはまたあらためて書くがなにはともあれ、へなまずるい登場人物が出てくる話を読みたいならば、プラハの墓場は最適だ。 ![]() ▲
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| 2015-03-25 04:27
| 洋書
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結局The Pursuit of Mary Bennet (Pamela Mingle)のフランス語版を読んでいる。
ジェーン・オースティン、「高慢と偏見」のオマージュ。二次創作。 ![]() 上から順にジェーン、エリザベス、メアリー、キティにリディアと女ばかりの子沢山家庭。 まん中のメアリーが主人公。 上のふたりが嫁ぎ、すぐ下の妹も婚約が決まりそうだ。リディアはとっくの昔に嫁にいっている。 残ったメアリーの行く先について親が頭を痛める。 あれじゃもらい手がない。姉の子の教育係にだすか? リディアのところで子守にでも。 それを聞きつつどうせ私なんかと後ろ向きなメアリー。 うたは上達しないけれど、わたしには本とピアノさえあればいいのよ。 そこに臨月をむかえたリディアが何の前触れもなく帰省。 - 夫の節操のなさには耐えられない。 言った口から腹の子が夫の子かどうかもわからない事実まで告白される。 父親から頭ごなしに怒鳴らたところにキティが帰宅。長姉のジェーンが同伴している。 父親は怒る。 - キティとメアリーでもう一度ジェーンのところに行って来い、 - 帰ってきたばかりなのにまた戻ってどうするの - 女手がいるからメアリ-もリディアの出産を手伝うべき、 誰もがあれやこれや大騒ぎ。 - いいえ、メアリーは私と一緒にうちに来ます。 嫁に行って子どもも産んだせいか、あのおとなしかった長姉がことを仕切る。 リディアは昔からキティと仲がよかった。リディアのことはキティに任せて、メアリーはうちに避難させます。 事の流れが非常にご都合主義な気がするが、 文字通り二次創作者の筋書きどおり、まん中娘は長姉の婚家でしばらく過ごすこととなる。 キティも結局ついてくる。 婚家に始終姉妹が滞在するなんて、夫には迷惑じゃないかと思うのだが、 夫の妹も始終夫のところにいたので、家族団結への理解はありそう。 屋敷も広いし。 千客万来で、行く先にはキティの想い人も再来しているらしい。 メアリーは内心想う。 あの人は本当は私のことが気になっているのよ。 原作に比べてガチャガチャ度が薄い。訳文のせいか原文のせいか、登場人物の性格もどこかちがう。 オマージュなので同人誌を読んでいるような錯覚に陥る。 なにはともあれ恋愛小説。ツッコミを入れながら読むのが醍醐味ではないだろうか。 肩の力をだらりと抜いて、やじうま気分で読んでいる。 ※※※ 実は並行してウンベルト・エーコの「プラハの墓場」に手を出した。 ん十年前に「薔薇の名前」を数ページと進まず挫折した 再挑戦にあたって腹を決めた。 1日1ページでも読めればいい。 560ページ。2年計画。 2年かかっても、読めればいいじゃないか。 こむずかしい単語が多く、辞書を引き引き読んでる。 ウンチクばかりで、誰も彼も性格が悪い、癖がありすぎる。 暗いパリ、陰鬱としたイタリア、売笑宿、インチキ古物商、秘密結社。珍奇な過去と奇妙な今。次から次へと胡散臭さがにおいたつ。 一文一文にコクがあり、辞書を引着ながら読んでもまったく気にならない。 あらすじについてはまたそのうち。 今は雰囲気にのまれている。 ![]() ウンベルト エーコ 「プラハの墓場(墓地)」2010年 他の小説を以下に列挙。右に私情をはさんでおく。 薔薇の名前:1980年 ←挫折 フーコーの振り子1988年 ←読みたい 前日島1994年 ← あるとは聞いていた バウドリーノ2000年 ← 知らなかった 女王ロアーナ、神秘の炎2004年 ← 表紙は拝んだ Numero zero 2015年 ← なんだかそそられている。 夢は大きく持たないと。 ▲
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| 2015-03-17 05:24
| 洋書
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本屋で本が二冊並んでいた。
Only Mr Darcy will do (Kara Louise著)のフランス語版とThe Pursuit of Mary Bennet (Pamela Mingle)のフランス語版 ![]() 高慢と偏見のその後を、アメリカ人が二次創作した本。 背表紙だけ店頭で読んだ。 一冊目が高慢と偏見でみごとハッピーエンドで終わったエリザベス嬢だが、結局破局となり、住み込みの教師の職に就く。けれど転職しても行きあうダーシー。けれども一度食についてしまったエリザベスには、前より大きな身分の壁が立ちふさがる。 二冊目は高慢と偏見で5人姉妹の中、一番非社交的で自分の世界を大切にするメアリーが主人公。行き遅れになったらどうするのと母親から大騒ぎされる中、妹のリディアがまたもや騒ぎを起こした。メアリーは姉夫婦、エリザベスのもとに避難。そこで心惹かれる男性と出会う。メアリーは彼を惹きつけることができるだろうか。 高慢と偏見の二次創作は山ほど出版されているが、この表紙は群を抜いている。 特に二冊並ぶと美しい。 でも、フランス語なんだよなぁ。 ジェーン・オースティンの人たちには、エイゴで喋ってもらいたい。(もしくは、ちゃっちゃと日本語で) アメリカ原書のエリザベス版はどこから見てもハーレクイン。 メアリの表紙はロマンチックだけれど、上の表紙には勝てやしない。 原書を買って表紙をカラーコピーで制作しようかと、ときどき本気で考えることがある。 ▲
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| 2015-03-14 05:21
| 洋書
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2/18のデンデンムシからひきつづき、ルイス セプルベダを読んでいる。
アマゾンにはいったことがないけれど、チリの小さな町で、独り暮らしの老人が、歯医者から恋愛小説を回してもらう。 - ハラハラする話しかい、ハッピーエンドだろうね。 - もちろんだよ。 読みもしていないのに太鼓判を押す歯医者。 話は老人の若かった頃、妻と求めた新天地、狩猟民との合流、友人との出会いと流れていく。 野獣、病原菌も跋扈(ばっこ)して、湿地帯は大変だ。 ほぼ20年前にフランスでベストセラーになった、ということなので、どの辺りが読者の琴線に触れたのか、雑念にまみれながら読む。 南アメリカ? 密林? 新天地? 一人暮らしの放浪? 野獣? 学校の図書館をはじめて見た感動はひしひしと伝わってきた。おまけに学校に住みこんで、端から読んでしまったりもする。 野営中、恋愛小説を読みきかせる場面も心惹かれた。 本好きには、堪えられないもんだと雑念まみれで読んでいたが、最後は一気にハードボイルドになっていった。 息つく間もなくラストの一行へとなだれこむ。 世間の泥にまみれ、生死を賭ける自然の中で、恋愛小説を読む時間が光を放つ。 ![]() ルイス セプルベダ 邦題「ラブストーリーを読む老人」 原題:Un viejo que leía novelas de amor Luis SEPÚLVEDA 次は猫とカモメの飛ぶ話。 ![]() 原題:Historia de una gaviota y del gato que le enseño a volar 邦題「カモメに飛ぶことを教えた猫」 海に潜っているうちに警戒警報が出て、水面に上がるとひとりぼっちになっていたカモメ。 一難去ってまた一難。次は海に流れた石油の波が押し寄せてきた。 一方、ハンブルグの海辺には、飼い主がバカンスにでたので独り暮らしをはじめた黒猫がいた。 3日ごとに餌をくれる人がやってくるし、この先自由になにをしよう、思っていた矢先に先のカモメが飛びこんできた。 石油まみれでもう目を開ける力もない。 - わたしはもうだめ。卵を生むのが精一杯。 卵がかえったら、飛ぶのを教えてあげてちょうだい。 あなた、卵食べないわよね。 猫はカモメの最期の願いを、叶えるのだろうか。 ※※※※ ルイス セプルベダ 1949年生まれ。チリの小説家。 「カモメに飛ぶことを教えた猫」もうちょっと読む ▲
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| 2015-03-13 16:03
| 洋書
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