にしむら珈琲店

先日ドイツ地方から関西に客が来た。
神戸でどこに案内するか、ドイツ人にドイツ建築~、思いつつ、神戸では外せないにしむら珈琲へ。
だって、百戦錬磨のドイツ人に対応できる、地元にしかない非全国区の手堅いカフェって、ここしか知らなかったのだから。
幸いいたく気に入っていただけた。


「にしむら珈琲」
子供の頃から、外装が高げな気品で気になっていた。
外食をしない親と育ち、コーヒー店どころか店の一つも敷居を跨がないまま神戸に就職。
ある夜、美人の友人と夜待ち合わせに使ったとき、にしむら珈琲を指定された。「ここなら安心して待ってられるから」

ああ、この店に来れる歳になったのだ。
あの時ばかりは昇るしかない年齢に感謝した。



震災の時、かの美人は言った。
「被災中やから半額になっとんねん」
がんばれにしむら!
心の中で祈った。

それより大変なところはあっちこっちにあったので、被災見舞いには行けず。
その後再建、全額復帰を聞いたときはどんなにほっとしたか。

かの「にしむら」は東京にはないと知ったのはつい最近。
さすが今の世、豆は通販で入手できる。
が、あの雰囲気は、味わえない。

中座するとコーヒーが覚めないような気遣い(独り者には身に染みる)、寒くないか、汚れないかの配慮。
それを感謝で返す顧客。

働くということを態度で教えてくれた店。

本の中にあった。

- 喫茶店の求人広告を見て応募しようと親に相談したところ、水商売がダメだと一旦は反対されたものの、応募先がにしむら珈琲店だとわかると、「あそこなら大丈夫!」と太鼓判がもらえ (P50)

水商売と軽視される時代に、服装も言葉遣いもしっかりした教育を受け、誰もがプライドを持って働いていた。
そしてそこに、親の思い出話を聞いてくる客もいる。

- 父がこの店で母にプロポーズしたんです。


お金を払ってお客様を演じるためではない。
人がまっとうに生きる時間に一役買うために、この店がある。

そしてそういう場所は、きっとにしむら珈琲だけには限らない。
こんな人生を送ることができれば。

この本は、遠い伝記や、ビジネス啓発本より価値がある。

ここまで書いて気がついたのでいっておく。

これはにしむ〇珈琲店の宣伝ではありません。
単なる一冊の、書評として書いた文章なのです。

でも神戸の宣伝とは言えるかも。
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神戸っ子の応接間
  川瀬喜代子と神戸にしむら珈琲店
日野嗣士著


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by mkbookies | 2017-09-18 10:53 | | Comments(0)
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