よせばいいのに加門七海を読んでいる。
可愛い名前に反して、生々しいホラー作家。書くものは現実性に富み、この世の者ではない者を自ら呼び、読む人の電車を乗り越させる、スピリチュアルライター。 出身大学多摩美だよ、きっときっと絵も描ける。 わたしにとっては、もうどこをとっても信じられない存在。 図書館で「鳥辺野にて」を借りて、迫真すぎて途中で走って返しに行ったこともあった。 性懲りもなく、「猫怪々」を読み、なんだノンフィクションのほうが、軽い調子で読み流せる、と思ったのがはじまりで、 「怪のはなし」「おしろい蝶々」「怪談徒然草」と読んできた。 「おしろい蝶々」の親王の話の宴の風景など、思わずそこだけコピーを取りそうになったほど。 加門七海氏も長野まゆみ氏も、こんなに書けるのに、どうして表街道の路線にならないんだろう。 思いつつも読み、読みおわったら怖くてさっさと図書館に返しに行くくせに、三日と開けずに次を借りる。 これはいったいどういう訳だ。 先日「心霊づきあい」を読み終えた。 11人との対談集。あなたの知らない世界の新倉イワオ氏や、稲川淳二氏の中に、民話に造詣の深い松谷みよ子氏の名前があったから、と自分で言い訳しながらのスタートだった。 大森亮尚氏の名前は、アキヒサと読むのだと初めて知った。 「世界ふしぎ発見!」は異様な確率で虹が見れることも初耳だった。 呪術師の話も興味深い。そういう存在が「ふつうわかるでしょう、近所の人が留守かどうか」というレベルでお付き合いをする村民の話があったのは「怪のはなし」だっけ、とまた読み返してしまいそうになった。 エッセイ、対談は語り口が軽いのだ。軽く怖い話を語るからなんだか読める。どんどんどんどん次を読む。 今読みはじめたのは「怪談を書く怪談」これもエッセイ。 冒頭の話なんて当事者にとっては半端じゃない。 解決してくれる大伯父がいなければいったいどうなっていたか。 けれど加門七海の知人は、いい人ならば必ず解決する。 これがうれしくて、どきどきしながら読むんだよな。 にほんブログ村
by mkbookies
| 2016-10-15 15:43
| 本
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