ミツバチの巣箱を噛(は)む

ちょっとひねればこちらこちら(もしも明日があるとしたら)に使えそうなネタなのだが、マジなネタなのでこっちに書く。

青空マーケットのはちみつ屋さん、
菩提樹の蜂蜜の横に、ポプリか、鉛筆の削りカスみたいなブツが、使いきりサイズのジャムの小瓶に入っていた。
2ユーロ。200円ちょっと。
- これ何?
と聞くと、
- プロポリス。
という答えが返ってきた。お店の人の補足説明が、
- アンチセプティックだよ。
抗せぷてぃく?
せぷてぃっく、ってなんだっけ。
水回りのパイプ洗浄剤になんだかそんな言葉を見た気がする。詰まりどめ? お通じ用?
またの機会に試すかも、完全に生返事な私に、スタンドのムッシューが息せき切って説明をしはじめた。
- チューインガムみたいなものでね、アンチセプティックの民間療法だよ。ミツバチがポプラから作るんだ。ポプラって知ってるかい、河川にい生えている樹だよ。そこから蜂が運んで巣箱にくっつけて、蜂はこれで生き抜くんだよ。液体状にしたのがこっち(と、製品化した箱を指さす)この小瓶は原材料。ガムみたいにして噛めばいいんだ。
とか何とか言ったのだと思う。
- うーん、また次にね、
それでもうやむやにして立ち去ろうとすると、ムッシューはスタンドの後ろから出てきて、小瓶の蓋を開けた。中の木くずのようなものを指さし、
- 試してごらん。タダでいいよ、今回はあげる。
アンチセプティックの意味を考える隙もなくまくし立てる。
わけのわからんもんを口にしろと言われても、その場はもらって、そのままうちでこの小瓶の中身がミイラになる可能性が高い。猫に小判になりかねまい、思っていると、頭の上から声が降ってきた。
- ジンセン、高麗人参みたいなものだよ。
見上げると二人組の警察。
よからぬものの取引を決めている現場を押えた、という様子でもなく、ニコニコわらってこちらを見下ろしていた。
朝市の警ら中に通りかかったらしい。
高麗人参ねぇ。

特攻をカミカゼと呼び、落ち着くことをゼンと呼ぶこの国、フランス。ジンセンは本当に高麗人参なんだろうか、思いつつも、結局頂くことにした。

警察が言うことなら、と素直に信じ、小さな欠片を口にする。
ねちゃねちゃ。
家に帰って調べると、「アンチセプティック」は抗菌だった。

口の中って雑菌があるのが当たり前で、妙に殺菌してしまうとからだに悪いんじゃない? 考えながら噛みつづける。
時々歯の裏にぺったりとくっつく。それを剥がしてまた噛んで、くっついたらまた剥がす。

ウィキで調べると「抗菌・抗ウイルス・抗炎症・抗腫瘍作用等」ではじまり、さまざまな「抗」が列挙されていた。他にも免疫力調整、鎮痛効果、腸もスッキリ、気分もスッキリ。食欲増進、局部麻酔と盛りだくさん。(http://ja.wikipedia.org/wiki/プロポリス)。

体調の良い私にとっては、どういう効果が現れるのだろう。これを食べ続けるとミツバチみたいに飛べたりして。妄想がぶっ飛びかけた時、蜂つながりでふと思い出した。
「クマバチは自分が飛べないことを知らない」

クマバチの体は航空力学上、どう分析しても絶対に飛べない。
けれどクマバチは飛んでいる。
それは一重に、自分が飛べないことを知らないだけだからである。

口の中が妙にスッキリしている。
外も晴天、日当り良好。
私は今日から、一体何をはじめてみようか。



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by mkbookies | 2015-05-23 21:23 | つれづれ | Comments(0)
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