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筆跡鑑定人

ラノベはドラマみたいに時間を指定されないし、どこまで観ようとこっちの勝手だ。
気を張らない、緊張感バラバラの時はもってこい。
なんだか気にはなっていたが、表紙で引いていた本も、カバーをすればこっちのモノ。


谷春慶
「筆跡鑑定人東雲清一郎は書を書かない」


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書き手の性格や、書いた時の状況、焦って書いたか、じっくり腰を落ち着けて書いたかなどは、理論的に解明されている。
中心人物の大学生、著名な書籍家のできることはそれだけではない。
字を見れば、書いたものの感情が流れこむ。

書いた本人がどこに住んでいて、どんな容姿でどんな名前、までわかればオカルトだが、この男にはそこまでできない。
わかることは書から読み取れることばかり。
それでも女子大生の美咲は聞きたかった。
 おじいちゃんが他所の女性に書いた恋文は本気だったの?
 おじいちゃんは、おばあちゃん一筋じゃなかったの?
 あんなに素敵な二人だったのに。

大学の書道部を経由して教えてもらった鑑定家は、構内でもピカ一の、人付き合いの悪い、高飛車男だった。

開口一番断られ、それでも依頼すればののしられ、それでも美咲は喰らいつく。
このままじゃ、おじいちゃんが大好きだったおばあちゃんが可哀想。

そんなきっかけで始まる清一郎と美咲の文字と書をめぐる短編集、一冊につき4話掲載、既刊三冊を一気に読んだ。

展開はクセがあるので三話も読めば次の予測がつく。
清一郎は見てくれはよいが性格が悪い。頭は悪くはないが方向感覚がゼロ。
よって美咲は希望するしないにかかわらず、清一郎の「捜査」に駆り出される。
(性格が悪すぎて他に頼める相手がいない)

展開は多少わかっても、メインのストーリーは多彩だ。
ストーカーあり、古美術詐欺あり、レストランのメニュー落書きあり。
文庫のフォントの話は興味惹かれた。

文庫本と一口で言っても、岩波、集英社、メディアワーク、宝島、字体は社によって決まっている、とは、言われて初めて気が付いた。
岩波はたしかにクセがあるが、その他のところは改めて見直すと、あら、ホントに違うじゃん。
行間の問題だけかと思っていたよ。

自分は書家から程遠い、思い知らされながらも読み進む。

読み進みながらふと思う、文庫の文字は明朝体。発達障害の人にとって、明朝体って読みにくい、と聞いたことがある。
横文字の人にとって、斜めに傾いた文字を読むときに、格段にスピードが落ちるのと同じ。
教科書も、明朝体より漫画のコミック用のフォントを使ってくれればいいのに。


そんな風に気がそれながらも、流れがいいのか、一気に可愛くラブコメ三冊読了。
書きっぷりもよく、勢いよく読めた。
一言言わせてもらえば、
この著名な書家男、口からでるボキャ、少なすぎないか。

たいてい、気に入った著者は他の本も読んでみるのだけれど、
この著者の前作が「モテモテな僕は世界まで救っちゃうんだぜ(泣)」全七巻完結。

市立図書館になく、いくらネット通販が横行する現代でも、これを大人買いする勇気がない。
今のところ。

今日の読書: 三冊まとめて15星。
あぁ、楽しかった。



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by mkbookies | 2017-07-01 18:19 | | Comments(0)