メリー・ポピンズ対ウォルト・ディズニーの映画、「ウォルト・ディズニーの約束」を見てからメリー・ポピンズをちょこちょこ読み返している。
短篇集で、順番に読んでいく必要もない。気が向くままにページを開いて、目についた章を読みはじめる。 数十年前はかんぜん子供目線で読んでいた。 「甘えていはいけない。子供を眼力で制圧し、おまけに得体のしれない力ももっているメリー・ポピンズ。なんでこの人はわざわざ“子守り”をやってるんだ。このひとだけは敵には回したくない。でも会いたいわぁ」思いつつ読んだ。結局「人間関係、距離が肝心」と諭されたような本だった。 今回は映画目線、これは子供を救う話ではないと心に言い聞かせながら読む。 それでもドロドロのドクは感じられない。違った面から楽しめて、一シリーズで二度美味しい「児童書」だ。 短篇集・なつかしい本つながりでレイ・ブラッドベリを思い出した。 大昔「みずうみ」、「霧笛」と萩尾望都のマンガで知り、そこから「10月はたそがれの国」を宇野利泰さん訳で読んだことがあった。 やっぱり萩尾望都さんで読みたいよな、と感想をいだいたことがあった。 一番初めの学習を長くひきずる刷り込み効果。 なにはともあれ十年ぶりに手にとったブラッドベリー、再開のはじめは「バビロン行きのの夜行列車」。 短篇集なのでアクセスは今マイブームの《本はまん中から読む》。(関係ないが新聞は今も昔も後ろから読む) なにはともあれ開いた先にあったのが“鏡”。 コラルとジュリアは双生児。どちらがどちらか見分けがつかぬ。いつも同じ服を着て、靴も一緒で髪も同じ。いつも一緒に時を過ごす。 萩尾望都の「半身」かとおもいきや、この双子は卵子がきれいに分裂し、産道をひとりずつ順番に進んで生まれたふつうの双子だった。 小学館の漫画を読んでいるのか、ブラッドベリーの肉声を聞いているのか、確認するかのように読み進める。 内気だ短気だ怒りん坊だ、笑い上戸だ、そんな描写は一切なし。 気持ちも反応もすべて会話と行動でつづらる。 感情表現は最後の一瞬だけ。 それも迷宮に誘いこむような一言で。 英数字あわせて36種類だけのはずなのに、それが組み合わされリズムを持って詩を奏でる。いつのまにか五感に訴え、映像を見せる。 気を抜いたら四次元にさそいこまれるかもしれない世界だった。 レイ・ブラッドベリ著「バビロン行きのの夜行列車」
by mkbookies
| 2015-04-13 00:14
| 洋書
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