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フィリップ ドレルム

ちょっとふ抜け気味なので軽くフィリップ・ドレルム。
邦題が
ビールの最初の一口―とその他のささやかな楽しみ」と、原題「ムッシュー スピッツウェグ」。

事の始まりは
「バジル氏の優雅な生活」 今から二~三十年も前の少女漫画。坂田靖子著。
何故か突然
読みたくなり本屋に出向いた。
フランスの片田舎の本屋に日本の漫画などあるよしもない。
そんなことは百も承知。
ただ本屋に出かける理由づけにすぎない。
目新しい物を探して、ふらふらするうちにふと目に入ったのが
「ムッシュー スピッツウェグ

ジャケ、一目惚れ。

98年、2001年、2009年に出版されたスピッツウェッグ氏三作を一冊にしたポケット本。

パリに住まなければいけない、ではじまり、独身男の見るパリが淡々とつづられている。
冴えない主人公ではあるにしろ、その目に映る情景からは匂いや色まで伝わってくる。

口調が詩的。
こういうのを書く人って、どういう人なのだろう。気になり
図書館で「ビール」を借りてきた。
こちらは自転車とチャーリー(チャリ)の違い、日曜日のケーキ詰め合わせ、浜辺で読書、お気に入りのものを集めて語る、という趣向。
こういう風に廻りが見えると、どこに住んでも芸術が書けそう。
ちょっとこじゃれた単語とリズムのいい長めの一文一文が、小沼丹の随筆を思わせる。
バジル氏のような優雅な暮らしも不意打ちもないけれど、どこか力の抜けた空気が充満していて、のんびり読むには最適。
買おうかと思ったけれど、まだポケット版が出ていない模様。
図書館の本は簡素で上質紙なクリーム色の現代フレンチ装丁の本。
それはそれでいい本なのだけれど。

ビールの最初の一口―とその他のささやかな楽しみ。
 - 古本屋で出会う状態良好なフィリップ・
ドレルム
そんな一章を付け加えたくなる本。
著者にとっては迷惑か。

Philippe DELERM著 Monsieur Spitzweg、LA PREMIERE GORGEE DE BIERE ET AUTRES PLAISIRS MINUSCULES
by mkbookies | 2014-07-05 05:16 | 洋書
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